キノコ葬とは何?「生きた棺」で自然に還る究極の埋葬方法を紹介

キノコ葬

 人間は菌によって死に、菌によって生かされています。

細菌感染や耐性菌によって人が死に、常在菌や酵母菌によって人は日々生活をしています。

菌によって見つけられた薬を使用して病気を治療することもよくある話です。

キノコもそんな菌の仲間である身近な食べ物です。

一説には、旧石器時代から人間はキノコに興味関心を持っていたと言われています。

そんなキノコを使って死者を埋葬する方法があることをあなたは知っていますか?

今回は、菌の力を利用する「キノコ葬」についてご紹介します。

キノコ葬とは遺体を自然に還す埋葬方法

「キノコ葬」は別名・菌糸葬と呼ばれます。

オランダの国立デルフト工科大学の研究生であり、バイオデザイナーのボブ・ヘンドリクス氏によって開発されました。

彼が設立したベンチャー企業の「Loop」が開発した埋葬方法は、2020年からサービスが開始されています。

ボブ・ヘンドリクス氏は「生きた棺」という環境に負荷を与えない自然葬を思いつきました。

「生きた棺」は棺の外観部分が麻の繊維でできており、内部がキノコの根っこである菌糸で作られている棺です。

キノコ葬で埋葬すると遺体はどうなる?

ヨーロッパはキリスト教信者が多いため、棺桶に死者の体を入れて土葬をします。

棺桶も環境にやさしいものが奨励されており、中でも木製の桐で作られた棺が人気です。

従来の棺は分解されるまでに10〜30年かかるとされています。

ところが「生きた棺」に入れてキノコ葬をすると棺は30〜45日で土中で分解され、遺体は2〜3年で分解します。

キノコ葬は、遺体を土や森に還す仕組みになっていて、土を豊かにし、新たな生命を育む可能性を秘めているのです。

キノコ葬が注目されたのは“エコ”への想いから

世界的な課題を解決する方法を考える目標の「SDGs(持続可能な開発目標)」には、気候変動を始めとした環境問題への取り組みがあります。

ヨーロッパの先進国は環境問題に関する意識が特に高く、火葬による二酸化炭素の排出を抑えるため、遺体を土に還す取り組みを行っているのです。

アメリカの有名俳優がキノコ葬を選択し話題に

アメリカで1990〜2000年までに放送されたTVドラマ『ビバリーヒルズ青春白書』に出演していた俳優のルーク・ペリー氏が2019年3月4日に亡くなりました。

彼は死後も環境への負荷をなくすために、キノコの胞子を綿のスーツに植えつけた「キノコスーツ」を死に装束として選んだことで話題になりました。

キノコ葬が日本で行われる可能性はある?

結論として日本でキノコ葬を行うのは、現状かなり厳しいです。

なぜなら日本は感染予防や国土問題によってほぼ100%、火葬で死者を葬る国だからです。

土葬を禁止する法律はありません。

対象地域で都道府県知事の許可を得れば、土葬も行うことができます。

しかしながら東京都、大阪府、愛知県の一部地域には土葬を禁止する条例を持つ自治体があります。

それだけでなく土葬の許可を出している地域は、ごくわずかです。

そのため、キノコ葬を行うことは、ハードルが高いと言えるでしょう。

本当にキノコ葬を行いたいのか自分で考えるだけでなく、家族や恋人、友人といった周りの人の意見を聞いて考えることをオススメします。

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