自分の国の風習や死生観が当たり前だと思っていませんか?
世界には多くの民族が存在しており、さまざまな風習や死生観に沿って生活しています。
中には、日本では考えられない方法で葬儀を行っている民族もいます。
今回は、「マサイ族の葬儀」をテーマにお話ししましょう。
マサイ族の基本情報
- 国:ケニア南部からタンザニア北部一帯
- 言語:マサイ語
- 人口:推定20〜30万人
マサイ族の葬儀とは?
マサイ族とは、ケニア南部からタンザニア北部一帯で生活している先住民です。
垂直ジャンプで高く飛んだ者が尊敬されるという、不思議な価値観を持っていることでも知られています。
ここからは、マサイ族の葬儀について見ていきましょう。
獣葬を行う
マサイ族が伝統的に行っているのは、自然葬の一種である「獣葬」です。
獣葬とは、ハイエナなどの野生動物に遺体を食べさせる葬儀スタイル。
具体的には、雄の牛の血を染み込ませた布で遺体をくるみ、サバンナに放置するのだといいます。
また、1日目の夜に食べられると良い人であったとされ、2日目の夜までに食べられないと悪い人であったとされるのだとか。
時には、遺体だけでなく、助かる見込みのない人も対象になると聞きます。
獣葬の習慣がない私たちには驚くことばかりですが、さまざまな文化があると知り、その風習を重んじるのは大切なことではないでしょうか。
墓石は置かない
伝統を守り、獣葬を行ってきたマサイ族ですが、近年ではキリスト教徒やイスラム教徒が増えていることもあり、葬儀スタイルが多様化しているといいます。
その影響で、普通の棺に遺体をおさめて埋葬するケースが主流になっているとのこと。
ただし墓石や十字架などを建てることはないのだそうです。
これは、マサイ族がお墓を恐れているためだという説があります。
マサイ族の葬儀に関わる宗教・死生観
独特の葬儀スタイルを持つマサイ族ですが、彼らの宗教や死生観はどのようなものなのでしょうか。
死後の世界は信じない
今では多様な宗教を信じているマサイ族ですが、元々の伝統信仰はエンカイという神を信じる一神教なのだとか。
また、死生観の特徴として、死後の世界を信じないことが挙げられます。
つまり「死ぬとそこでその人の人生は終わる」という考え方なので、死後の世界だけでなく、来世の存在も信じていないことがわかります。
これは一般的な現代の日本人にも通じるところかもしれませんね。
家系を重んじ呪いや呪物を信じる
家系を重んじるのも、マサイ族の特徴です。
たとえば結婚する際には親族会議を開いて、牛を盗むなどの悪いことをしていないか、問題がないかなど何代も前までさかのぼって調べるのだそう。
また、呪いにまつわるこんな習慣があると聞きます。
一家の主人である父親が亡くなる際は、息を引き取るまでに息子全員が彼の元を訪れ、敬意を払う必要があるのだとか。
そうしないと一種の呪いのようなものである「エンゴキ」が降りかかるのだといいます。
日本でもさまざまな呪いについての伝承が残っていますよね。
そう考えると、世界的に必要な文化の一つといえるのかもしれません。