これを読んでいる皆さんは「ジャズ葬」を知っていますか?
日本の葬儀では厳粛な雰囲気で行われるものですが、世界には賑やかな葬儀も存在するのです。
この記事では、ジャズ葬の概要、生まれた背景、実際に演奏される曲を紹介します。
興味のある人はぜひご覧ください。
ジャズ葬とは|ニューオリンズの賑やかな葬儀
それでは早速、ジャズ葬について見ていきましょう。
ジャズ葬はアメリカ・ニューオリンズの賑やかな葬儀です。
日本の葬儀とは全く真逆の雰囲気なのです。
天国への旅立ちの祝福を奏でる葬儀
ジャズ葬が行われるのは、亡くなった人が天国へ旅立つことを祝福するためです。
まるでお祭りのように、ブラスバンドが曲を奏でる中、棺を運びます。
終始明るい雰囲気というわけではなく、お墓へ棺を運ぶときは静かな曲、お墓からの帰りは賑やかな曲というようにメリハリもあります。
ニューオリンズ民の「死」への想い
ジャズ葬が生まれた背景は次項で説明しますが、その背景がニューオリンズの人々の想いと繋がっています。
日本では「喪に服す」という考え方がありますが、ニューオリンズでは「辛い生から解放された」という祝福の気持ちをジャズの演奏で表しているのです。
「不謹慎だ」と思うかもしれませんが、その背景を知ることで受け入れやすい気持ちになるはずです。
ジャズ葬が生まれた背景
ジャズ葬が生まれた背景には、悲しい歴史が隠されているのです。
アメリカならではの過去と言ってもいいでしょう。
詳しくご説明します。
奴隷として蔑まれた歴史
古きニューオリンズではアフリカから奴隷として強制的に連れてこられた人々が多くいました。
過酷な労働を強いられ、満足に休むこともできず、辛い日々を過ごした人々が暮らした土地です。
なので、ニューオリンズでは「死」を解放と捉えるのでしょう。
風土病との戦い
ニューオリンズは湿地帯であるため、黄熱病や天然痘といった伝染病が何度も流行しました。
奴隷としての労働を強いられながら、風土病とも戦わなければならないという過酷な環境だったのです。
ジャズ葬で演奏される曲5選
ここではジャズ葬で実際に演奏される曲を5つ紹介します。
聴いたことのある曲もあるかもしれません。
聖者の行進(When The Saints Go Marching In)
「聖者の行進」は多くの人が聴いたことがあるのではないでしょうか?
「聖者が亡くなった人を迎えに来た」と歌っている、伝統的な曲のひとつです。
主よ 御許に近づかん(Nearer, My God, to Thee)
「主よ 御許に近づかん」は「神にもっと近づきたい」という想いを歌った曲です。
聖書では、信者が神に近づくことによって神もまた信者に近づくと記されています。
ジョン・ブラウンの屍(John Brown’s Body)
南北戦争の時代に戦場でよく歌われていたのが「ジョン・ブラウンの屍」。
曲名にもなっているジョン・ブラウンは、奴隷解放のきっかけを作る為に戦争を起こそうと奔走した人物です。
Just a Closer Walk with Thee
「Just a Closer Walk with Thee」はニューオリンズのジャズ葬で最もよく演奏される定番曲です。
「この世での辛さから死をもって解放される」という意味の曲であり、ジャズ葬に適しているナンバーですね。
Didn’t He Ramble
「Didn’t He Ramble」は、お墓から賑やかに話しながら帰って来る時に流れることの多い曲。
「あいつはろくでなしだった」などと軽く故人の悪口を言いながらも、同時に「この世から解放されて本当に良かった」という愛情も持っているはずです。
ジャズ葬は日本でも行える?
ジャズ葬とは少し異なりますが、日本にも「音楽葬」という形式の葬儀が存在します。
音楽葬では故人が好きだった曲が流され、時には生演奏を行うことも。
読経などを行わない為、通常の日本の葬儀より、故人を軽やかに偲ぶ形になるでしょう。
もし日本で音楽葬を行いたい場合は、葬儀会社に相談してみることをおすすめします。