コールドスリープは、SFの中のことだと思っていませんか?
実は、かなり前から冷凍保存は行われています。
「じゃあ、実際に冷凍保存されている人はいるの?」
そう思う人もきっといるでしょう。
そこで今回は、冷凍保存されている有名人について紹介します。
また、実際に冷凍保存を行っている団体や技術についてもお話ししますので、興味がある人はぜひご覧くださいね。
テッド・ウィリアムズ
「MLBで史上最高の左翼手は誰だ?」とメジャーリーグマニアに問えば、迷わず「テッド・ウィリアムズ」という答えが返ってくるでしょう。
MLBで三冠王を2回も取っている彼は、驚異の打率406、通算出塁率482など、まさにマルチな才能を持っていたことがわかります。
そんな才能溢れるテッドが亡くなったのは、2002年、享年83歳でした。
生前はその野球センスによって人々を驚かせていた彼ですが、死後も負けず劣らず世間をあっと言わせたのです。
なんとテッドは「死んだら冷凍保存してほしい」と遺言を残していました。
長男は父の遺言を果たそうと、すぐさまアルコー延命財団に遺体の冷凍保存を頼んだらしいのですが…
長女はそれに真っ向から反対。
「火葬して海に散骨する」というのが彼女の言い分でした。
遺体の扱いを巡って裁判沙汰にまでなったというのですから、ある意味人騒がせな父親だったといえるかもしれませんね。
ちなみに裁判の結果は、頭部は冷凍保存して、それ以外は火葬することになったのだとか。
果たして安らかに眠れるのだろうかと疑問を持ってしまいますが、それで決着がついたのですからよしとしたいところ。
しかし、この話には後日談があります。
実はアルコー延命財団の管理がいい加減であることが発覚したのです。
冷凍保存を成功させるためには、血液を不凍液へと完璧に置き換える必要があるのですが、それがきちんと行われていませんでした。
テッドの頭部にも血液が残っていたらしく、なんとそれが膨張して16回も破裂したのだそう。
なんともゾッとする話ですよね。
ジェームス・ベッドフォード
カリフォルニア大学の心理学教授だったジェームズ・ベッドフォード。
晩年、腎臓癌で苦しんだベッドフォードは、自身を冷凍保存するために奔走します。
なんと10万ドルをつぎ込んで、世界で初めて冷凍保存されることになったのです。
冷凍保存されたベッドフォードは、アリゾナやカリフォルニアの施設に預けられていましたが、1982年に息子が引き取ったとのこと。
その後、1991年にアルコー延命財団が管理することになり、現在に至ります。
冷凍保存を望む人々は、未来に復活することを望んでいて、ベッドフォードもそれは同じ。
しかし、実際にはベッドフォードの蘇生は困難だろうというのが専門家の見方です。
まだ蘇生技術が整っていないこともありますが、一番の理由は冷凍保存第一号だったベッドフォードの場合、冷凍保存の技術そのものが原始的だったから。
とはいえ、未来にとんでもない技術革新が起こらないとは限りません。
そうなれば、多くの人の予想を覆し、ベッドフォードが復活する未来がくるかもしれないですよね。
ハル・フィニー
ハル・フィニーは、アメリカの優秀なコンピューター科学者。
暗号化プログラムPretty Good Privacy (PGP)を開発したフィル・ジマーマンに見いだされたことからも、彼がいかに優れていたかがわかるでしょう。
またビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトとも交流があったようで、かなり初期の段階から、ビットコインを利用していたことでも知られています。
ビットコインを守りながら保管できるウォレットもハルが開発したのだとか。
飛び抜けた才能を持つハルでしたが、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。
その後、2024年8月24日に帰らぬ人となったのです。
彼の遺体は、アルコー延命財団で冷凍保存されているとのこと。
ウォルト・ディズニー
みなさんはウォルト・ディズニーが、ディズニーランドの地下に眠っているという都市伝説を聞いたことがあるでしょうか。
1966年に海難事故で亡くなったディズニー。
彼の遺体が冷凍保存されているという噂があります。
しかし、冷凍保存で有名なアルコー延命財団の名簿にも名前が掲載されていないことから、どこに安置されているのかが人々の関心の的になりました。
だからなのでしょうか、いつからか「ウォルト・ディズニーがディズニーランドの地下に眠っている」と言われるようになったのだとか。
あくまでも都市伝説ですが、もし本当だとしたらすごいですよね。
FM-2030
イラン系アメリカ人の作家であるFM-2030。
元々の名前である「Fereidoun M. Esfandiary」を「FM-2030」に改名した人物です。
まるで記号みたいな名前に変えたのには理由があります。
彼は、名前を見れば、人種や性別のほか、国籍、先祖などがわかってしまうと考えていました。
そこでそういった情報を一切含まない名前に改名したのだそう。
ちなみに「FM-2030」には「100歳になる2030年まで無事に生きていたい」という願いが込められているのだとか。
残念ながら、FM-2030は2000年に膵臓癌で亡くなってしまったのですが、彼の遺体は「ガラス化凍結法」で保存されています。
遺体の冷凍保存(クライオニクス)を行っているのは?
最後に、遺体の冷凍保存(クライオニクス)を実際に行っている団体について紹介しましょう。
冷凍保存(クライオニクス)は、アメリカとロシアで実施されています。
アメリカでは「アルコー延命財団」と「クライオニクス研究所」の2団体が、ロシアでは「クリオロス」が行っています。
プランは、全身を冷凍保存するタイプと脳のみを冷凍保存するタイプの2種類。
日本では「日本トランスライフ協会」が、冷凍保存(クライオニクス)の仲介を行なっています。
ロシアの「クリオロス」と連携して、冷凍保存(クライオニクス)のサービスを提供していたのですが、現在はロシア・ウクライナ紛争によって休止中とのこと。
まるでSFのような話ですが、実際に行われているんですね。
ただ冷凍保存(クライオニクス)の蘇生についてはまだまだ研究が必要なようです。
近い将来、蘇生技術が開発されれば、冷凍保存(クライオニクス)が選択肢の1つになるかもしれません。