本記事で紹介しているエピソードは、一般の方から寄せられたものです。
友人に誘われて、ある地下アイドルグループのライブに行ったときのことです。
そのグループはまだ無名でしたが、ファンたちは一体感があり、熱狂的な応援をしていました。
私もつられて盛り上がり、ライブ後の「特典会」で推しを決めてチェキを撮ることにしました。
その中でも特に目を引いたのが、センターの女の子・Aでした。
彼女は眩しいくらいに明るい笑顔で、会話も丁寧。
まさに「アイドルの鑑」そのものです。
チェキを撮ったときも「ありがとう!また来てね!」と可愛らしく言われて、私はすっかり心を掴まれてしまいました。
それから数ヶ月、何度もライブに足を運び、彼女を応援していました。
ある日、少し早めに会場に着いた私は、入口付近でマネージャーと話すAを偶然見かけました。いつもの天使のような笑顔とは違い、無表情でどこか冷たい印象を受けました。
そのまま気まずくて目を逸らそうとした瞬間、彼女の口からこんな言葉が漏れたのです。
「もう限界。あんな奴らのために笑うの疲れた。」
私は耳を疑いました。
いつもファンに見せていたあの笑顔は、本物ではなかったのだろうか?
動揺している間に特典会が始まりましたが、彼女は何事もなかったかのように、再びあの完璧な笑顔を作り上げていました。
そして私の順番が来たとき、彼女がふっと耳元で囁きました。
「あなたも、私が本当に笑ってると思ってるの?」
その瞬間、全身が凍りつきました。
目の前のAの笑顔は変わらず美しいのに、その奥にある深い闇を垣間見た気がしたのです。
その日以降、私は彼女のライブに行けなくなりました。
推しのアイドルが見せる笑顔が、本物なのか、それとも「役割」としてのものなのか、怖くてもう確かめることができませんでした。
本当に怖いのは、アイドルの光輝く笑顔の裏に隠された「何か」かもしれません。