天皇陛下や皇族には、一般の国民とは異なる決まりや慣例がたくさんあります。
その中でも特に気になるのが、天皇陛下は葬儀に参列されない点ではないでしょうか。
この記事では天皇陛下が葬儀に参列されない理由や過去に特例で参列されたケースについて解説します。
天皇陛下が葬儀に参列されない理由
天皇陛下が葬儀に参列されない理由は、皇族の古くからの慣例に倣っているため。
唯一葬儀への参列が許されているのは、上皇のみとなります。
葬儀に参列されない理由としては、天皇にしかできない公務を優先しなくてはいけないためです。
また、天皇陛下は「神宮」という立場のため、頭を下げられません。
そうした面でも、頭を下げる場面がある葬儀に天皇陛下は参列できないのです。
ただし、天皇陛下が葬儀に全く関わらないわけではなく、葬儀にはご名代が参列するのが慣わしとなっています。
過去に二度だけ天皇陛下が国葬に参列されたことがある
慣例により葬儀に参列されない天皇陛下ですが、実は過去に二度だけ国葬に参列されたことがあります。
一度目は1993年にベルギーのボートワン国王の国葬で、当時天皇皇后であった上皇夫妻が参列されました。
二度目は2022年に行われたイギリスのエリザベス女王の国葬で、かねてからの親交があったことが参列の理由として報じられています。
戦後以降で海外の国葬に天皇陛下自らが参列されたのはこちらで紹介した二度のみで、かなり異例の対応といえるでしょう。
天皇陛下の葬儀は「大喪の礼」と呼ばれる
「神宮」という立場にあられる天皇陛下が崩御された場合「大喪の礼(たいそうのれい)」と呼ばれる国の儀式が執り行われます。
また、皇室の儀式として執り行われるのは「大喪儀」といい、大喪の礼と大喪儀を合わせて「御大喪」といいます。
宗教分離の考え方に基づき、大喪の礼は特定の宗教による儀式ではありません。
一方、大喪儀は皇室の私的な儀式という位置づけなので、宮中祭祀の神道儀礼に倣って行われることが多いです。