罪を犯した人が、死んだ後に落ちる地獄は8つの階層に分かれています。
その中でも、阿鼻地獄は最も深い場所にある地獄で、想像を絶する責め苦が待ち受けているそう。
この記事では、阿鼻地獄の内容や落ちる人の罪について解説します。
阿鼻地獄とは?何をされる?
阿鼻地獄とは、八大地獄において最も最下層にある地獄を指します。
どの地獄に落とされるかは生前の罪の種類や重さによって異なりますが、阿鼻地獄はその中でも最も重い罪を犯した人が落ちる地獄です。
無間地獄ともいう
阿鼻地獄という名前の由来は、サンスクリット語の「avici」です。
この単語の音写「アビ」に阿鼻という漢字が漬けられました。
また、阿鼻地獄には「無間地獄」という別名もあります。
「無間」はaviciを中国語に直したもので、休む間もなく苦しみ続けるという意味が込められています。
無間地獄には、無間の獄や無間奈落などさまざまな呼び名がありますが、これらは全て阿鼻地獄のことを指しているのです。
落ちるだけで2000年
阿鼻地獄は、たどり着くまでに2000年の時間がかかる地獄です。
阿鼻地獄に落ちる人は、地獄の責め苦を味わい続けながら、もっと辛く苦しい場所を目指しつづけます。
その間、阿鼻地獄で責め苦を受ける罪人たちの悲鳴が耳に届き、辛く苦しい時間を過ごさなければなりません。
とてつもない孤独
阿鼻地獄に落ちている最中、罪人は強い孤独感に苛まれます。
たった1人で2000年も落ち続けているのですから、「寂しい」「誰も助けてくれない」「心細い」などの泣き言を言いたくもなりますよね。
しかし、もし落ちている最中に泣き言を言ってしまうと、地獄の鬼が「悪いことをしたのだから今更後悔しても遅い。今の苦しみをひとすくいの水だとしたら、阿鼻地獄の苦しみは大海のようだぞ」と叱責してきます。
このように、阿鼻地獄に落ちる罪人はとてつもない孤独感の中で、2000年間落ち続けるのです。
他の地獄の1000倍以上の苦しみが襲う
阿鼻地獄は、全ての地獄で味わう苦しみを1000倍した苦しみを味わう地獄です。
阿鼻地獄の責め苦を味わった罪人が、1つ上の地獄「大焦熱地獄」を見ると、まるで天上界に見えるほどなのだとか。
そのため、阿鼻地獄の苦しみを語ろうとすると、話している人も聞いている人も辛すぎて、血を吐き死んでしまうといわれています。
阿鼻地獄は何をした人が落ちる地獄?
地獄は、生前に犯した罪によってどこに落ちるか決まります。
阿鼻地獄に落ちるのは「五逆罪」と「法謗罪」を犯した罪人ですが、これらはどんな内容の罪なのでしょうか。
ここでは、「五逆罪」と「法謗罪」の内容を詳しく見ていきましょう。
【五逆罪】肉親の殺害など
五逆罪とは、母や父を殺す、聖者を殺す、仏の体に傷をつける、教団を乱すという5つの罪状です。
また、両親に対して恨みを抱いたり、「邪魔だ」と思ったりすることでも阿鼻地獄に落ちるとされています。
仏教において、両親というのはとても大切な存在なのです。
【法謗罪】仏教の軽視など
法謗罪とは、仏教に対して軽視した発言をしたり、疑ったりすることを指します。
「信じなくていい」「全部嘘だ」などというだけでなく、心のなかで軽んじるだけでもにあたります。
阿鼻地獄の刑期
阿鼻地獄の刑期は「八万四千大劫(はちまんしせんだいこう)」です。
1劫が約4億3200万年という、すでに途方もない年数なのにその8万倍と考えるとほとんど永遠といってもいいでしょう。
罪人は刑期の間、片時も休む暇なく責め苦を受け続けることになります。
阿鼻地獄の景色
阿鼻地獄には、「無間の城」と呼ばれるとても大きなお城があり、7重の鉄条網で囲まれ、周辺は刀でできた林が広がっています。
お城の四方にある門には80個の釜が設置され、熱く溶けた銅で満たされています。
さらに、18人の鬼や刀の歯や鉄の舌を持つ番犬が見張っているので、どうあがいても決して脱出することはできません。