親から遺伝するものは?容姿・身長・顔は関係ある?

親から遺伝するもの

親の顔や性格に似ている、というのは多くの人が自覚したり人に言われたりすることでしょう。

これは、親から受け継いだ遺伝子が性格や見た目に影響しているからです

では、親からの遺伝はどのくらい子どもに受け継がれるものなのでしょうか?

この記事では、親から遺伝するもの、しないものについて詳しく解説します。

親から遺伝するもの|容姿や身長

親から遺伝するものの中でも、特にわかりやすいのが容姿や身長です。

ここでは、親から遺伝する見た目の特徴について詳しく見ていきましょう。

身長

身長は親から遺伝する要素の1つです。

これは、身長の80%が受け継いだDNA配列によって決まるといわれているからです

しかし、必ずしも親と同じ身長になるわけではありません。

身長は600種類以上の遺伝子が組み合わさって決められ、親から受け継いだ遺伝子はその一部に過ぎないためです。

さらに、生まれ育った環境も身長に大きな影響を与えます。

身長は親から受け継ぐものですが、全てが親と同じになるとは限らないと覚えておきましょう。

顔つき

顔つきも親から遺伝する場所です。

オランダのエラスムスMC大学医学センターの研究グループは、2012年に「顔立ちに影響を与える5種類の遺伝子」を発見しました。

これらの遺伝子がどのような役割を持つのかはまだ解明されていませんが、常染色体の上に存在することは分かっています。

常染色体は両親から半分ずつ受け継ぐ遺伝子なので、必然的に親に顔つきが似ると考えられます。

ただし、娘は父親に息子は母親に似るというのは通説で科学的な根拠は解明されていません

鼻の形状や大きさは、遺伝の影響が大きいといわれています。

例えば、親がわし鼻であれば子どももわし鼻になる可能性が高いのです。

一方で、鼻は柔らかな軟骨で形成されているため鼻に強い衝撃を与えたり頻繁に鼻を触っていたりすると変形する場合があります

鼻の形は遺伝しやすいですが、その後、後天性で形が変わることもあり得るでしょう。

目で遺伝が影響するのはまぶたです。

例えば二重や一重などのまぶたの皺は、両親の優性遺伝子を受け継ぐか、劣性遺伝子を受け継ぐかによって変わります。

一方で瞳の色は、複数の遺伝子によって決まる部位です。

瞳の色を決める遺伝子の構造はとても複雑で「必ず親と同じ目の色の子どもが生まれる」とは言い切れません

このことから、瞳の色は親の遺伝を受けにくいといえるでしょう。

耳の形や大きさも親から遺伝する部分です。

遺伝する要素は、耳そのものの大きさや耳の立ち具合耳や耳の穴の形状などです

ただし耳の形や大きさは、常染色体の遺伝子が優性で遺伝したか、劣性で遺伝したかによって変化するとされています。

そのため、親と違う形や大きさの耳を持つ子どもが生まれてもおかしくはありません。

髪質は遺伝子による影響が大きいですが、癖っ毛の親から必ず癖っ毛の子どもが生まれるとは限りません。

髪質は遺伝子が持つ要素の量によって決まるので、直毛の両親から癖っ毛の子どもが生まれたり、反対に癖っ毛の両親から直毛の子どもが生まれたりすることもあります。

髪色については、メラニンという色素の量で決まります。

メラニンについてはまだ研究が進んでいないため確実に親から遺伝するとはいえないようです

そのため、髪の毛に関しては必ずしも親から遺伝するとは言い切れないでしょう。

親から遺伝するもの|性格や内面

子どもの性格や内面の特徴も、親からの遺伝である程度決まることがあります。

ただし、例え親の遺伝子を受け継いで生まれてきたとしても、人生経験や過ごした環境によって性格は大きく変化します

遺伝によって受け継いだ良い面を伸ばせるように、どんな性格や内面が遺伝しやすいのかを見ていきましょう。

社会性の強さ

社会性の強さも親から受け継いだ遺伝子で決まるといわれています。

社会性を高めるには、他者の顔を認識して敵か味方かを判断する能力が必要です。

この能力を司る遺伝子を多く受け継いだ子どもは、顔認識能力が高い傾向にあります。

ただし、感情の豊かさや対人機能には、幼少期の絆体験も強く影響します。

子どもの頃に親や友人と活発なコミュニケーションを取ることで、後天的に社会性を高められるでしょう。

心配性な性格

心配性な性格は、遺伝によって強く現れる可能性があります。

一説によると、家族や近しい親族に不安症の人がいる場合に同じように心配性な性格になる確率は2〜6倍高くなるといわれています

ただし、たとえ心配性の遺伝子を持っていたとしても、遺伝子が活性化されなければ発現しない場合もあるようです。

好奇心の強さ

好奇心の強さも、親から受け継いだ遺伝子の形が影響します。

好奇心は「開放性」を司る遺伝子の繰り返し回数によって変わります。

研究によると繰り返し回数が7回の人は好奇心が強く4回の人は好奇心が弱くなるのだとか

もちろん、ドーパミン分泌量なども好奇心の強弱には影響しますが、遺伝による影響は強いといえるでしょう。

運動神経の良さ

運動神経の良さは、親の遺伝が大きく影響します。

海外の研究によると、運動能力が遺伝子に影響する割合は66%と半分以上なのだとか。

さらに、瞬発力や持久力、力の強さなどの細かい分類でも、親が得意とする能力を受け継ぐ可能性が高いといわれています。

しかし、自発的に身体を動かさなければ十分な筋肉や肉体が発達しません。

遺伝した運動能力の高さを発揮させるには運動に対してポジティブな印象を持たせることが大切です。

芸術に関する才能

音楽や演劇、絵画など芸術に関わる才能も親から遺伝するといわれています。

一説によると、芸術に関する才能が遺伝する確率は約50%前後なのだとか。

手先が器用な人や、絵を描くことが好きな人の子どもは美術や図工を好む可能性が高いと考えられるでしょう。

ただし、例え才能があっても興味関心が向かない場合もあります。

才能を開花させるためには子どもが自発的に「楽しい」と思える環境を作ることが大切です。

親から遺伝するもの|病気や疾患

病気の中には、親から遺伝するものもいくつか存在します。

ここでは、子どもが生まれつき抱える病気について遺伝が関わっているのかを見ていきましょう

ADHD

親がADHDの場合、子どもがADHDになる確率は平均70%程度といわれています。

ADHDに影響する遺伝子は、ドーパミンやセロトニンの分泌に関わる遺伝子です

ただし、ADHDの発症に関する遺伝子はいまだ発見されていません。

なぜなら、たとえADHDが遺伝していても生活環境や家族との関係値によって発症のしやすさが異なるからです。

ADHDが遺伝したとしても、環境要因を取り除くことで発症の確率は変えられるのです。

染色体異常疾患

染色体異常疾患は、受精卵の形成過程でランダムに起きる疾患です。

そのため、一般的には親から遺伝することはほぼ無いといわれています

ダウン症候群

ダウン症候群は、親から遺伝する場合と突然変異で発症する場合の2パターンがあります

ダウン症候群の原因である染色体不分離は、親に遺伝子異常が無い場合でも起きる可能性があるのです。

もちろん、親が遺伝子異常を持っている場合は遺伝によって発症する場合もあります。

しかし、必ずしもダウン症の原因が遺伝であるとは言い切れません

先天性風疹症

先天性風疹症は妊婦が風疹ウイルスに感染することで起きる疾患なので、遺伝によるものではありません

ちなみに、母親が感染した際に症状が出なくても胎児が先天性風疹性を引き起こす場合もあります

頭の良さは母親からの遺伝?それとも環境?

過去の研究では、頭の良さは遺伝によるものとされてきました。

しかし、近年では頭が良くなる遺伝子というものは存在せず、後天的な影響が大きいことがわかっています。

頭の良さは記憶や学習能力を司る脳の器官「海馬」が関わっています

海馬の大きく、細胞が多いと頭が良くなるのですが、これらを育てるには幼児期の栄養バランスや、外部からの刺激の量が重要です。

子どもの頃から健康に良いものをたくさん食べ、本を読んだり外で外で遊んだりすることで海馬が大きく成長し、賢い子どもが育つのです。

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