多くの男性と夜を共にした遊女。
彼女たちはどのように避妊をしていたのでしょうか?
この記事では、遊女たちが避妊をどうしていたのか、遊女がもし妊娠してしまったらどうするのかなどを詳しく解説していきます。
遊女は避妊をどうしてた?妊娠を避けるためにしていた方法4つ
江戸時代の遊女たちは、妊娠を避けるためにさまざまな方法を用いていました。
以下に代表的な4つの方法を紹介します。
詰め紙
遊女たちは、膣内に和紙を詰めることで妊娠を防ごうとしていました。
この方法は「上げ底」と呼ばれ、柔らかく薄い「吉野和紙」という高級和紙が使われ、唾液で濡らして膣内に挿入します。
現代にも、シリコンでできたゴム製のカップを子宮頚部に被せるペッサリーという避妊方法がありますが、和紙で同じ試みをしていたのでしょう。
お灸
江戸時代には、へその下にお灸をすえると妊娠しないというジンクスがありました。
この方法は2月2日に行うと効果があるとされ、遊郭の女性はみな2月2日にお灸をすえていたそうです。
医学が発達していない時代だからこそ、多くの女性がこのような方法を信じ実践していたのでしょう。
避妊薬
日本に避妊薬が誕生したのは、江戸時代末期頃といわれています。
もっとも有名な避妊薬は「朔日丸(ついたちがん)」で、毎月1日に飲むと避妊効果があるとされていました。
そのほかに、「月水早流」や「天女丸」などさまざまな避妊薬がありましたが、どれも成分は不明で、効果に科学的根拠はありません。
入念な洗浄
遊郭で最も使われていた避妊方法は、膣内の入念な洗浄です。
これは「洗滌(せんでき)」と呼ばれ、事後に膣内をお湯で洗い流すことで妊娠を防いでいたとされています。
そのため、遊女が使う浴室やトイレには必ず洗滌できる場所が備え付けられていたそうです。
避妊薬や高級和紙を頻繁に使えない下級遊女たちにとって、最も手軽に行える避妊方法だったのでしょう。
遊女がもし妊娠してしまったらどうする?
医学が発達していなかった時代だからこそ、避妊方法にも科学的根拠はありませんでした。
そのため、遊女の中には望まない妊娠をする女性も少なくなかったといいます。
そんな彼女たちは、妊娠してしまったときどうしていたのでしょうか。
ほおずきの実を使う
遊女が妊娠した際には、ほおずきの実を使った緊急避妊や堕胎が行われていました。
ほおずきの実には子宮収縮効果があるため、膣内に挿入して妊娠を防止していたのです。
また、実だけでなくほおずきの根にも効果があるとされ、煎じて飲んだり、しぼり汁を膣内に塗り付けたりといった方法が用いられました。
冷水に何時間も浸かる
避妊薬を買ったり医者にかかったりできない下級遊女たちは、冷水に長時間漬かるという直接的な堕胎方法も実施していたそうです。
やり方は物理的ですが、母体にも影響がある過酷な方法なため体調を崩したり、命を落としたりする遊女も少なくなかったでしょう。
水銀を飲む
水銀と米粉を使った薬で堕胎する方法も用いられていました。
水銀の毒性で流産させるというものですが、毒が強いためそのまま命を落とす遊女も少なくなかったといわれています。
その他の江戸時代の男性用の避妊方法
江戸時代には、男性側にも避妊方法がいくつかありました。
しかし、今ほど精巧なコンドームがあるわけではなく、あまり一般的に用いられていなかったようです。
茎袋(きょうたい)
「茎袋(きょうたい)」とは、ペニスに被せて使用するコンドームのような避妊具です。
ただし、当時はゴムやシリコンなどはないため、動物の皮で作られていました。
さらに、根元には固定するための紐もついています。
海外から伝わった避妊具なため手軽に手に入るわけではなく、一般的にはあまり普及していなかったそうです。
甲形(かぶとがた)
同じくコンドームのような役割を持った「甲形(かぶとがた)」というアイテムもありました。
このアイテムもペニスに被せて使用しますが、水牛の角で作られています。
そのため、避妊具だけでなく現代のアダルトグッズ的な使われ方もしていたといわれています。